“sick”と“ill”はどちらも「病気で具合が悪い」ことを誰かに伝える際に使う単語(形容詞)ですが、ネイティブは病気の度合いによって使い方を分けているので、そのニュアンスの傾向についてご紹介します。
Sick:軽い病気、気分が悪い
ill:重い病気
sick「気分が悪い」「具合が悪い」「軽い病気」
“sick”は「病気の」や「体調が悪い」という意味で、比較的症状が軽いときに使います。
ニュアンス的には、風邪をひいた時やいつもに比べて体調が優れない時などに「気分が悪い」「具合が悪い」という感じで使うのが自然です。
病状が深刻な場合には使いません。
例えば、昨晩徹夜で仕事をしたため、今日体がしんどい時や朝から咳が止まらず風邪気味である時に“sick”を使います。
「私は徹夜をして仕事をしたため、今日体調がよくありません。」
I guess I am sick because I have had a terrible cough since this morning.
「私は今朝からひどい咳が出ているので、風邪をひいたのだと思います。」
また、“sick”は「気分が悪い」や「吐き気がする」というときにも使うことができます。
例えば、二日酔いで吐き気がする時や乗り物酔いをした時も“sick”を使うのが適切なニュアンスです。
「私は二日酔いで気分が悪いです。」
I got carsick yesterday.
「私は昨日車酔いをしました。」
I’m feeling sick.
「(船酔いで)吐きそう」
基本的に風邪をひくなど軽度の病気であることを伝える時には“be動詞 + sick”、気分が悪い時には“feel + sick”を使って表します。
車酔い、船酔い、飛行機酔いは“carsick” “seasick” “airsick”という単語があるので、“get + ○○sick”を使って表現することができます。
feel + sick:気分が悪いことを伝える
それと“sick”には“be sick of ~”で「~にうんざりする」という意味もあるので、覚えておくと役に立つと思います。
「私は毎朝シリアルを食べることにうんざりしています。」
ill「重い病気」
“ill”も“sick”と同様に「病気」や「具合が悪い」という意味ですが“sick”と比べるとやや硬い表現となり、病気の状態が深刻なニュアンスになります。
つまり日常的にあり得るような風邪や頭痛などで具合が悪いという訳ではなく、癌や白血病など入院を要するような重症な病気にかかった時に“ill”を使うのが自然です。
例えば、長期的に病気で入院することになり会社を休まなければならない時や重い病気にかかっている友人のお見舞いに行く時には“ill”を使って表現します。
また、病気の深刻さを強調するのに“seriously (副詞)”を付けて“seriously ill(形容詞)”としたり、“Serious(形容詞)”を付けて“Serious illness(名詞)”と表現することもできます。
「私は病気なので少なくとも1ヶ月は仕事へ行けません。」
I visited my friend who was ill in hospital.
「私は病気で入院している友人のお見舞いへ行きました。」
He is seriously ill.
「彼は深刻な病気を抱えている。」
このように“sick”と“ill”のニュアンスの違いをみてきましたが、“sick”は日常的に具合が悪くなった場合に使うことができ、“ill”は重症な病気にかかった場合に使用すると覚えておくと良いかと思います。
風邪をひいた時に“I am ill.”と言うと入院するほど深刻なのかと心配される恐れがあるので使い分けには注意してください。