「クジラが魚でないのは、馬が魚でないのと同じことです。」
きっと大学受験に挑んだことのある皆さんの多くが、この例文を懐かしく思うのではないでしょうか。
そうです!クジラ構文です!
私も高校生の時に、クジラ構文に苦しめられた記憶があります。
今回はそんなクジラ構文、【no more A than B】【no less A than B】をもう一度学習したいと思います。
目次
クジラ構文「no more A than B」の訳し方
まずは、受験でも使える、クジラ構文の訳し方を見てみましょう。
学校や塾の先生によって、様々な訳し方を習った私ですが、その中で私が一番好きな方法をご紹介します。
〈ステップ1〉-と+で考える
“no more A than B”を-と+で表してみましょう。
“no”は存在を否定する言葉なのでマイナスなイメージがあります。
“more”は「より多く」という意味を持つので、プラスなイメージですね。
-×+=-
no×more=~ない
よって、“no more A than B”の日本語訳は「AでないのはBでないのと同じことです。」となります。
〈ステップ2〉問題文をバラバラに
問題文中の”no more”を一旦隠してみましょう。
そして“than”に下線を引き、“than”の前と後ろの部分を取り出します。
↓
(前)A whale is a fish
(後)A horse is a fish
〈ステップ3〉取り出した、前と後ろの部分を日本語訳に合わせて訳します。
(前)A whale is a fish
「クジラは魚でない」
(後)A horse is a fish
「馬は魚でない」
「クジラが魚でないのは、馬が魚でないのと同じことです。」
クジラ構文“no more A than B”を練習
「私はトラックを運転することができないのは、私はドレーク海峡を泳いで渡ることができないのと同じことです。」
〈ステップ1〉-と+で考える
“no”はマイナスなイメージ、“more”はプラスなイメージですね。
よって、no×more=~ない、となります。
〈ステップ2〉問題文をバラバラに
↓
“no more”を隠して、“than”の前と後ろに分けます。
(前)I can drive a truck
(後)I can swim the Drake Passage
〈ステップ3〉取り出した、前と後ろの部分を日本語訳に合わせて訳します
(前)I can drive a truck
「私はトラックを運転することができない」
(後)I can swim the Drake Passage
「私はドレーク海峡を泳いで渡ることができない」
「私はトラックを運転することができないのは、私はドレーク海峡を泳いで渡ることができないのと同じことです。」
さて、クジラ構文“no more A than B”について説明してきましたが、実はクジラ構文には“no less A than B”の形もあるのです!
“more”が“less”に変わっただけなのであまり難しくはないかもしれませんが、一緒にクジラ構文“no less A than B”の訳し方もみてみましょう。
クジラ構文「no less A than B」の訳し方
「クジラが哺乳類であるのは犬が哺乳類であるのと同じことです。」
〈ステップ1〉-と+で考える
“no less A than B”を-と+で表してみましょう。
“no”は存在を否定する言葉なのでマイナスなイメージがあります。
“less”は「より少なく」という意味を持つので、マイナスなイメージですね。
-×-=+
no×less=~ある
よって、“no less A than B”の日本語訳は「AであるのはBであるのと同じことです。」となります。
〈ステップ2〉問題文をバラバラに
問題文中の“no less”を一旦隠してみましょう。
そしてthanに下線を引き、“than”の前と後ろの部分を取り出します。
↓
(前)A whale is a mammal
(後)A dog is a mammal
〈ステップ3〉取り出した、前と後ろの部分を日本語訳に合わせて訳します
(前)A whale is a mammal
「クジラは哺乳類である」
(後)A dog is a mammal
「犬は哺乳類である」
「クジラが哺乳類であるのは犬が哺乳類であるのと同じことです。」
ネイティブスピーカーはどのようにクジラ構文を理解しているのか!?
さて、学校のテストなどでは先程の3つのステップでクジラ構文を攻略できることがわかりましたが、クジラ構文のような一瞬では理解し難い英語の文を、ネイティブスピーカーは一体どうやって日常で使っているのだろうか…という疑問が湧いてきました。
そこで、私の周りのネイティブスピーカーに話を聞いた結果を皆さんとシェアしたいと思います!
ネイティブスピーカー流クジラ構文の使い方(私調べ)
クジラ構文は日常会話の中で出てくるというよりも、ニュースや本、記事など少し堅いイメージがあります。
ネイティブスピーカーが“no more A than B”を使った文を書くまでの頭の中のイメージを、例文“A whale is no more a fish than a horse is.”を使って説明しましょう。
2)そうだ!no more A than Bを使って、何か有り得ない事と比較すれば、「クジラは魚じゃない」ことが強調される!
3)「馬が魚だ」なんて有り得ないから、「クジラが魚だ」と「馬が魚だ」を比較しよう。
つまり、ネイティブスピーカーは、“no more A than B”を一つのイディオムとして認識しているのですね!
クジラ構文の違和感
ネイティブスピーカー流のクジラ構文の使い方を学んだ後、クジラ構文とその和訳を声に出して読んでみると、何か違和感があるように思えました。
ネイティブスピーカーは、「クジラが魚だ」と「馬が魚だ」を比較しているのに対して、私が学校で習った正しい和訳には「クジラが魚でない」「馬が魚でない」というように、ないという言葉が含まれています。
ネイティブスピーカーの感覚から近い和訳をすると「クジラが魚だというのは、馬が魚だというのと同じことである。」となるでしょう。
英語と日本語は全く違う言語なので、一口に和訳と言っても様々な見方が出てくるのは仕方のないことなのかもしれません。
クジラ構文を使ってみる
“no more A than B”を一つのイディオムとして考える、という所まで理解できましたが、実際に自分でクジラ構文を使った文章を書きたい時はどうすれば良いでしょうか。
クジラ構文を和訳する時のステップを3,2,1と逆から辿るのも良いですが、私は頭の中でシーソーをイメージしながら文を作るようにしています。
シーソーに乗るのは、2つの比較したい事柄。
この2つの事柄の「有り得なさ」が同じである時、シーソーはつりあった状態になりますよね!これこそがクジラ構文のイメージです。
シーソーの真ん中にある支点部分が“than”です。
突然ですが、日本といえばお寿司ですよね。
あまり日本に詳しくない方でも、私が日本出身だと知ると「あぁ!寿司ね!やっぱり日本人は寿司を食べるから細いのね!」と、渡米後15キロも太った私に優しい言葉をかけてくださる事がよくあります。
アメリカではヘルシー代表のお寿司も、日本では(特に回転ずしなど)お寿司はヘルシーというより、手軽な食事というようなイメージがあるかと私は思います。
そんな迷信を正すべく、クジラ構文を使って、寿司が健康的でない!と主張する文を作りましょう。
シーソーに乗るのは、2つの比較したい事柄。支点部分にthanが来る
2つの事柄の「有り得なさ」がつりあっていますね!
頭の中でクジラ構文のシーソーが完成したら、あとはno“ more”を付けて文章にするだけです。
「寿司が健康的な食べ物だというのは、マクドナルドが健康的な食べ物だというのと同じことである。」
クジラ構文「no less A than B」の場合
クジラ構文“no less A than B”では、みんなが「当たり前だ!」と思う事柄と比較します。
例えば、「英語でのコミュニケーションを学ぶことは大切だ」という主張をしたい時には、みんなが「当たり前だ!」と思う事柄と比較します。
シーソーに乗るのは、2つの比較したい事柄。支点部分に“than”が来る
「英語でのコミュニケーションの方法を学ぶことは大切だ」than「お金の貯め方を学ぶことは大切だ」
「英語でのコミュニケーションの方法を学ぶことは大切だ」=当たり前だ!
「お金の貯め方を学ぶことは大切だ」=当たり前だ!
2つの事柄の「当り前さ」がつりあっていますね!
頭の中でクジラ構文のシーソーが完成したら、あとは“no less”を付けて文章にするだけです。
「英語でのコミュニケーションの方法を学ぶのは、お金の貯め方を学ぶのと同じくらい大切だ。」
こうして昔は苦手に思っていたクジラ構文についてもう一度学ぶことは、本当におもしろい時間でした!
きっと英語という言語を、英語の教科書を飛び越えて本当の意味で理解するには、とてつもない時間がかかるのかもしれない…と感じています。
きっと皆さんも楽しくクジラ構文について学んでくださったことと、願っています!