「英会話は英語の勉強じゃないんだから英文法の勉強は必要ない」
「中学高校と6年間英文法をみっちり勉強しても英語話せないじゃん」
「日本語話すとき文法気にする?しないよね?」
とまあ、こんな感じで英文法の勉強は必要ないかのように書かれている記事をネット上でよく見かけるかと思います。
英語ができる風の人、バイリンガル、帰国子女など様々な立場の方がもっともらしく書いてるのですが、このあたりちょっと誤解があると思うので、今回はそのあたりを中心に説明してみたいと思います。
目次
日本人は英文法が嫌い
「あなたは英文法の勉強が好きですか?」と聞かれると、ほどんどの方が「嫌い」と答えると思います。
その理由は明確で、英語と日本語の語順が全然違いますし、仮定法など日本人になじみのない文法が多いからです。
そもそも日本語には時制の文法が存在しないので、現在形、過去形、現在完了形、未来形もありません。
そのあたりが、英語は時制にうるさいと言われている部分でもあり、日本語で同じように表現できても文法が違うので理解しにくいわけです。
その結果、日本人は英文法アレルギーだと揶揄(やゆ)されることがあるぐらい英文法が苦手だというのが定説になってしまい、ほとんどの人が英文法の勉強をする前から苦手意識が植え付けられてしまっているというのが現状です。
その心理をうまくついているのがフレーズ丸暗記系の英語教材の販売者で、「弊社の英語教材は英文法を覚えなくても英語を話せるようになりますよー」という売り文句で販売数を伸ばそうとするわけです。
この手の教材は、英文法が必要ないとまでは言ってないとしても、英文法をしっかり覚えましょうなんてことはまず書いておらず、英文法を腫れ物に触るかのように扱っている会社が多いので、文法が必要か不要かという議論に触れないようにしている会社が多いかと思います。
ですが、私の経験上は英文法を勉強することは必須だと言い切れます。
必須だと言い切れる理由は、会話に必要なフレーズ全部を覚えることは不可能に近いと感じているからで、英文法を勉強して英文の仕組みについて理解し、その都度英語を組み立てていく方式の方が何倍も楽だったという自分の結果論からきています。
中には暗記が得意だという方もいなくはないと思いますが、ぞれでも文法というルールを覚えずに、ただひたすら英文を覚えていくとなると、気が遠くなりませんか?
ボキャブラリーに終わりはありませんので。
文法必要派と必要ない派の意見の食い違いはおかれている環境の違いにあった
私は以前、バイリンガルの英語講師に「英会話ができるようになるには英文法を覚える必要はありますか?」と質問したことがあるのですが、その際にその講師に「英文法の勉強は必要ない」と言い切られたことがあります。
その方が必要ないという理由は下記の理由からでした。
「日本人は英文法が合っているかどうかを気にして全然話さないので、留学しても全然話せるようにならない」
「ヨーロッパ人は文法が合っているかどうかなんて気にせず、めちゃくちゃな文法で英語をガンガン話すから上達が早い」
これを聞いて、確かに道理は合ってるなと感じたので、しばらくは「英文法なんて必要ないんだ」と鵜呑みにしてしまったことがあるのですが、その後別の英語講師に同じ質問をしてみると、今度は「英文法の学習は必須ですよ」と言われてしまいました。
それ以来、私は英語講師に限らず英語を話せるバイリンガルと知り合うと必ず、英語の勉強法について質問するようにしています。
- 勉強を始めてどのぐらいの期間で上達を感じたか
- 一日どのぐらい英語の勉強に費やしたか
- どんな勉強が効果的だったか
- 英文法は必要ですか?
- 英語の周波数に関してはどう思うか
- リスニングはどうやって鍛えたか
- 丸暗記はどの時点まで行ったか
などなど、質問攻めにするのですが、その中の質問で「英文法は必要か」という質問も必ずしています。
その答えは必要、必要ではないの2つに分けてしまうにはもったいないぐらい各自の持論をお持ちなのですが、文法必要派と必要ない派で分けてみるとすぐに傾向が分かりました。
その違いは英語が出来るようになったときの環境の違いです。
英文法が必要だと言っている人の中には英語講師も混ざっているので教える立場からそういう考えに至った方もいるのですが、必要派は全員日本で生まれて自分で英語を勉強してバイリンガルになった方々でした。
全員留学経験もあるのですが、全員英文法が必要だと言っています。
反対に文法が必要ないと言っているバイリンガルはハーフであったり、帰国子女であったり生まれてからずっと英語圏で育った人たちでした。
私が英語の勉強をし始めてからの知り合いなので、数人しかいませんがよく考えてみるとハッキリとわかれているんですね。
英文法は話すためのショートカットツール
で結局何が違うの?
ということなのですが、私の考えでは英語に触れている時間だと思います。
ハーフや帰国子女の場合は外では英語、家の中でだけ日本語(もちろんその逆もあり)という環境が多いので英語に触れている時間が圧倒的に長いのと、英語が生活の一部になっていたはずです。
ですので、時間をかけてネイティブが母国語を覚えるのと同じように自然に英語が出来るようになって行ったと思うのですが、英語を自分で勉強した人は留学するまでの間は日本語で生活する環境の中で英語を勉強する時間を作ってきたはずです。
留学エージェントに聞くと、留学で失敗して帰ってくる人はほとんどの人が日本で英語の勉強をしていかず、現地でも英語の勉強をしなかった人だといいます。
留学して英語しか使えない環境に置かれ、さらに語学学校に通ったにもかかわらず英語が話せないで帰国するわけです。
もしくは英語圏にいた時にはなんとなく英語は話せたけど、帰国後時間の経過とともに英語が話せなくなっていくかのどちらかです。
(これについては別記事でも詳しく書いていますので興味があれば読んでみてください。)
何が言いたいかというと、大人になってから留学などで24時間英語を使う環境に3年間身を置いたとしても、英文法を理解できていないのであれば、5歳児のおしゃべりに負けている可能性が高いということです。
ここで話を少し戻すと、先ほど大人になってから英語を勉強したバイリンガルが全員英文法が必要だと言っていたことを思い出してみてください。
彼らは、全員が英語ペラペラです。
中には1年未満しか留学していなかった人もいるのですが、しっかりと英語を話せています。
大人になってからバイリンガルになった方々の貴重な意見
その方達に教えていただいた貴重な意見をまとめると
- 英文法を知らないと永遠に丸暗記が待っている
- 勉強のための英文法は必要ないが、話すための英文法は必要
- 英語は文法にしたがってパズルを当てはめていくように文を組み立てるのが一番簡単
- 文の仕組みを覚えずにフレーズを覚えるなんて効率が悪い
- 文型が頭に入っているだけで言い出しがスムーズ
- 文法を使って自分の頭で英文を組み立てられるようにならないと言葉なんて出てこない
- 頻出のパターンフレーズを覚えるのは英文法を覚えるのと同じこと
などなど、貴重なご意見をいただきました。
これらの意見を総合的に考えると、英文法こそが時間を短縮してくれる大人のためのショートカットツールであり、丸暗記した英語フレーズは時間の経過とともに忘れてしまうけど文法を知っていれば英文の仕組みが頭に入っているので時間が経っても英文が出てくると言った感じでしょうか。
英文法を覚える必要がないと言っている教材も英語のパターンフレーズや会話自体を丸暗記させようとしている訳です。
パターンになっているわけですがら、丸暗記とは多少性質が違うのですが、パターンフレーズを覚えることに関しては知らず知らずのうちに文の仕組を理解している訳ですからほんの軽くですが英文法の勉強をしているわけです。
ちなみに英語ネイティブにも聞いてみると文法なんて関係ないという人が多いですが、英語圏では子供のころに英文法の勉強をするそうです。
「おい!!文法勉強してんじゃねえか!!」と突っ込んて笑い合いましたが、ネイティブは意識しなくてもいいぐらい体に染み付いているんだと思います。
それと、私の経験上、ネイティブの英語講師でちゃんとした先生はレッスン中におかしな英語を話すとその場で止めてしっかりと文法を教えますよ。
簡単に研修を受けただけの腰掛け講師はそこまでしてくれませんので、先生選びはしっかり行いましょう。
その文法がクラスで全体的に弱いと思ったら、次回まとめてプリントを作ってきてくれた先生もいましたし、質問すればニュアンスを交えてしっかりと教えてくれます。
そういう先生に文法の勉強は必要か質問すると文法は大切だと言っているんですよね。
やはり、時間が無い中で効率よく英語を覚えたければ英文法は必須だということです。